以前、我が家で岩谷堂箪笥の撮影でお会いしたカメラマンの【奥山 淳志】さんが写真を担当なさった料理本をご紹介します。
今までたくさんの料理本を読みましたが、涙した料理本は初めてでした。
いわて山形村の短角牛を食材とした本ですが、ある意味で1頭の赤ちゃん牛(また、とても可愛いのです。)の成長を追った本にもなっているのです。
生きてる牛とお肉になって料理されてる牛が一緒になっている、私にとってはかなりショッキングなことでした。。
本の中に書かれている作者の言葉ですが、
【短角牛との出合いで気持ちが変わりました。それまでお肉といえば、お店できれいになった状態のものしか見たことがなかったので、お肉やお野菜も生きているものの命を、頂いていると有り難さを頭では分かっているつもりでした。
でも実際に自然の中で放牧されている牛たちと、大切に育てている生産者の姿を見て、今までなかった感謝の気持ち、命のつながりを感じ、ごはんをつくって食べることが尊い営みで、日々の食事を美味しく料理し有り難くいただくことを大切に感じます。】
私のなかでも、可愛い動物=食べ物となっていないのですね。
お肉は別物と思いたい。また、生産者のことばで【安心して美味しいお肉を食べてもらいたいという思いで育てています。
短角牛は人に食べてもらうための経済動物でペットではありません。
本当はとてもかわいいのだけれど、あまり自分の思いを込めないよう育てています。かわいそうと思わないで感謝して食べて下さい。】
この言葉もショックでした。このお肉美味しいわね。といいながら牛が可哀想と思うこの矛盾さ。【奥山さん】は、学生時代に海外の辺境と呼ばれる所を旅をされたそうです。
その旅でネイティブアメリカンの村に滞在したとき、彼らにとって食べ物となる生き物が自分達を生かしてくれてることは現実で、だからこそ動物への限りない親近感や感謝の気持ちを持ち、また冷酷までに突き放した関係を築いている。
【食に対するリアリティー】を持っていることに興味をもったおっしゃっていました。
子供達にこんな本を使って【食育】を伝えたらいいですねとお話したら、
【僕達大人が子供達に伝えるだけのものをきちんと持っているかどうか疑問に感じている】とも。カメラマンというお仕事柄、写真を撮りながらたくさんの現実を見続けているのでしょうね。
食には、私なりの考えを持っていたつもりですが、この1冊の料理本が私にまた新たに多くのことを考えさせてくれました。
奥山さんとの出会いは、食に対してもっと真摯に考えなくてはと改めて考える大切な時間を与えてくれました。 感謝
この【くるみ】ちゃんが生まれたところから始まります
右から3頭目がくるみちゃん
美味しそうなお料理が並びます
生産者からたくさんの愛情を受けながら育っていきます
りっぱな牛に育ちました
本のご紹介 いわて山形村
風の食卓 ¥1500 子供達と食を考えるひとつのきっかけとなる本だと思います。
奥山 敦志さん 岩手の盛岡で発行している【
てくり】でも活躍中です。
個展を開いたりもしていらっしゃいます。
素敵な出会いでした。